阿部健一   Kenichi Abe

代表・演出、ドラマトゥルク、地域計画研究

1991年生まれ、東京都出身

千葉大学大学院園芸学研究科・博士後期課程 単位取得退学

日本大学芸術学部在学中に演劇活性化団体uniを立ち上げ、廃工場、喫茶店、路上などさまざまな空間で上演を行う。

2013年頃から「まち」を舞台とした活動を展開し、2014年に開始したちょいとそこまでプロジェクトでは練馬区・江古田と高松にて地域をテーマにしたプロジェクトを実施。

人間と環境の関係のありようと、時間の経過にともなう忘却や喪失、逃れがたい変化に関心があり、だれもがそのなかを生きている空間と時間をリプレゼンテーションする表現として演劇活動を続けている。

創作と地域の関わりへの関心から大学院では地域計画学を専攻し、住民主体のまちづくりやこどもの遊び場など公共施設の計画づくりにも携わる。

 

KEYWORDS

舞台芸術/アートプロジェクト/演出/フィールドワーク/地域リサーチ/オーラルヒストリー/空間計画/住民参加のまちづくり

 


【uni以外の主な活動】

 

東京芸術祭2024『東京芸術祭ひろば』内WS「ことばでそだてるくさむら」プログラムデザイン(2024)

東京芸術祭のインフォメーションセンター「東京芸術祭ひろば」のワークショップ企画をデザイン。

観劇に来た人やたまたま通りかかった人が、もやもやとまとまらないことばをステッカーに書き、劇場の柱に自由に貼っていくことができました。自分自身のまとまらないことばを見つめ、それが時間差でコミュニケーションを育んでいく10日間のプログラムとなりました。

 

(公財)練馬区環境まちづくり公社 みどり まちづくり活動助成事業 審査委員(2024-)

練馬区のまちづくり公社(みどりのまちづくりセンター)が実施するまちづくり活動助成の審査委員を拝命し、市民主体の自発的なまちづくりの支援に携わっています。

 

東京芸術祭2023『くらしチャレンジクラブディレクション(2023)

2022年の『くらしチャレンジ(大人とこどものための戯曲集)』の次のステップとして実施したプログラム。くらしを題材とした戯曲を書いてみるワークショップイベントを中心に、戯曲というかたちでくらしの断片が行き来する参加者とともにつくっていく企画でした。2ヶ月の間での戯曲投稿数は120作品。それらはInstagramやX(旧Twitter)で公開し、終了後も見ることができます。

 

極楽フェス'23「下馬兵舎時代 思い出の絵地図」進行・編集・文(2023)

2021年から取り組んでいる絵地図企画。この年は2022年に地元の女性たちにヒアリングした内容を絵地図にまとめて発行。プロジェクトとしては2枚目の絵地図が完成しました。お披露目を兼ねたイベントでは、新旧2種の絵地図を囲み、地域内外のさまざまな方が下馬地区の歴史に思いをはせる機会となりました。

 

秩父宮記念市民会館 荒れ地(仮)「大人のためのワークショップ ことばクラス」進行(2023)

秩父市の市民会館主催のワークショッププログラムを、荒れ地(仮)として星、たかすかとともに担当しました。まちを歩き、そこから想起したことばを手紙として書いてみるという内容で、同じまちから生まれたさまざまな表現を味わっただけでなく、まちを捉える手法開発の機会にもなり、進行役として充実した2日間でした。

 

極楽フェス'22「下馬兵舎時代 思い出の絵地図」(前年の続き)進行(2022)

前年度に引き続き、世田谷区下馬地区の「極楽フェス」にて戦後の下馬のくらしに関するヒアリングとその展示を行いました。今回は女性中心に聞き取りを行い、男性とは違った下馬の兵舎時代が浮かび上がってきました。下馬の歴史を掘り起こすプログラムとして、継続的に実施していく予定です。

 

東京芸術祭2022『くらしチャレンジ(大人とこどものための戯曲集)ディレクション・リサーチ(2022)

芸術祭のまちなかプログラムとして「くらしをテーマにした戯曲集」をつくる企画を提案し、その全体ディレクションとリサーチを担当しました。製作のために2ヶ月半豊島区に移り住み、そこで収集したくらしのエピソードから、劇作家の小野晃太朗がたくさんの戯曲を執筆、一冊の冊子にまとめて豊島区各地で配布をしました。会期中には体験会やデモ動画、展示など、さまざまなイベントも行いました。

 

東京プロジェクトスタディ1「わたしの、あなたの、関わりをほぐす〜共在・共創する新たな身体と思考を拓く〜」記録担当(2021)

アーツカウンシル東京の人材育成事業「Tokyo Art Research Lab(TARL)」のプログラム「東京プロジェクトスタディ」で、インタープリターの和田夏実さんとファッションブランドLOUD AIRを手掛ける岡村成美さんがナビゲーターを務めるスタディに記録担当として伴走、アーカイブサイト用の記録記事を製作しました。 年度末に刊行される最終成果物にも原稿を寄せています。

 

本と川と街参加プログラム 荒れ地(仮)『川の街のトラベローグ企画・執筆(2021)

荒れ地(仮)という新しい集いを、星茉里さん(「はらぺこ満月」主宰)、たかすかまさゆきさん(批評、文筆など)と立ち上げ、本所深川地区で開催されるアートプロジェクト「本と川と街」に参加。「川の街のトラベローグ」という紀行文をモチーフとしたまちあるき企画を出展し、地域各所で刊行物が販売されました。

 

小林企画『#ゲニウスロキを探してドラマトゥルク(2021)

劇団「青年団」演出部の小林遼さんの企画にドラマトゥルクとして参加しました。2020年から都内で実験を重ね、最終的には兵庫県豊岡市の農村部でツアーパフォーマンスが行われました。

 

東京芸術祭 セノ派『移動祝祭商店街 歩く庭プロジェクト設計・リサーチ(2021)

前年度に引き続き、セノ派「移動祝祭商店街」に参加。 「庭」をテーマに豊島区内でリサーチを重ね、東池袋中央公園で公開プログラムを行いました。阿部はプロジェクトの設計やリサーチ、オンライントークの企画・進行など、企画のはじまりから終わりまで伴走しました。

 

極楽フェス '21「下馬兵舎時代 思い出の絵地図」進行・編集・文(2021)

「地域の物語2021」で関わりのあった都営下馬アパートにて、世田谷パブリックシアターとNPO法人演劇百貨店の主催で行われた「生きること・死ぬこと」をテーマにしたアートイベント「極楽フェス'21」の一環で絵地図を製作しました。下馬が兵舎だった時代からここで暮らす方々の記憶を聞き取り、イラストを交えて一枚に。ある時代の下馬の風景を伝えるものとして好評を博しました。

 

世田谷パブリックシアター「地域の物語2021」進行役(2021)

劇場が継続的に実施している市民とともに演劇をつくる事業で、この年は劇場の近くに位置する「下馬アパート」という都営団地をテーマに、インタビューを軸とした創作が行われました。阿部は進行役のひとりとして、下馬在住のシニアへのインタビューや上演の構成に携わり、出演もしました。

 

フェスティバル/トーキョー20 セノ派『移動祝祭商店街 まぼろし編ドラマトゥルク・旅人(2020)

舞台美術家のコレクティブ「セノ派」が豊島区内の商店街と協力して展開しているプロジェクトにドラマトゥルクとして携わり、企画設計のサポートを行いました。そのうちのひとつ、杉山至さんが企画した『その旅の旅の旅』という企画には「旅人」としても参加し、区内の場所をテーマにした小作品を発表しました。

 

アートにエールを!東京プロジェクト『住めば都テキスト・声・撮影・編集(2020)

東京都の「アートにエールを!」に応募するため劇作家の塩田将也さんと製作した映像作品です。「伝書鳩の幽霊」をテーマに、往復書簡のようにしてテキストを執筆しました。

 

◎たまプラ一座まちなかパフォーマンスプロジェクト 実行委員(2019-) 

横浜市青葉区のたまプラーザ駅の周辺で取り組まれているまちなかパフォーマンスの活動に実行委員として携わっています。2020年以降は実行委員という枠が撤廃され、オープンな運営が目指されていますが、引き続き企画会議や運営に参加しています。

 

みなかみ町 たくみの里プレーパーク整備計画業務(2018-2019)

群馬県みなかみ町の観光拠点「たくみの里」に新しく設置されるプレーパークの計画を千葉大学として受託し、寺田光成とMariia Ermilova(ともに千葉大学博士研究員)とともに取り組みました。純粋農村でもあるこの地域の遊びの移り変わりをインタビューやアンケートで綿密に探り、地域の環境や文脈に根ざしたプレーパーク計画およびプレーパークを拠点とした環境体験プログラムを立案しました。

 

◎松戸市岩瀬自治会 演劇ワークショッププロジェクト(2018-)

在籍する研究室と関わりのある松戸市岩瀬自治会で、阿部が企画者となって地域課題をテーマとした演劇WSを実践しています。演劇WSと地域課題の融合を探求している企画で、2019年は地域の交通問題にフォーカスし、その中で生まれた「まちにオリジナルの飛び出し看板を置きたい」というアイディアは実際に実現しました。コロナ禍で中断したものの、いまも続いている企画です。(2021年4月現在)

 

多摩市立複合文化施設パルテノン多摩 大規模改修市民ワークショップ ファシリテーター(2017-2018)

多摩市の文化施設「パルテノン多摩」の大規模改修計画に市民の意見を反映させるための連続WSに、千葉大学大学院園芸学研究科教授(当時)の木下勇先生らとともにファシリテーターとして携わりました。2017年に基本計画への反映を想定したWS、2018年は管理運営計画を念頭においたWSを行い、そこで整理された意見は実際の改修計画や管理運営に反映されていきました。子育て世代や中学校への出張WSも同時展開しました。

 

東京プロジェクトスタディ スタディ1(2018) 

Tokyo Art Reserch Lab(アーツカウンシル東京)の一環で実施された対話と実践のプログラムで、劇作家の石神夏希さん(ぺピン結構設計)がナビゲーターを務めたチームに参加しました。「東京でつくる」という問いをめぐって対話と執筆を繰り返し、最終的に刊行されたエッセイ集に5つのエッセイが掲載されました。

 

富士見市民文化会館キラリふじみ・リージョナルカンパニーACT-F メンバー(2017-2018)

2010〜2018年度に芸術監督を務めた多田淳之介さん(東京デスロック主宰)が2016年度に立ち上げた劇場附属のカンパニーに、2017〜2018年度の2年間メンバーとして参加しました。地域や社会に働きかけることをコンセプトとした団体で、幼稚園や福祉施設へのアウトリーチ企画の設計や実施に関わりました。

 

東京スープとブランケット紀行 ドラマトゥルク(2017)

「指輪ホテル」芸術監督の羊屋白玉さんがディレクターを務める、東京アートポイント計画の一環で実施されたプロジェクトです。

2014年から関わり始め、最終年度に江古田で実施された公開プログラム「R.I.P.TOKYO」にドラマトゥルクとして参加し、企画設計やリサーチ、ドキュメントの作成に携わりました。

 

フィリピン、インドネシア、日本の青少年を対象とする環境教育をテーマとした演劇交流事業(2017)

コーディリエラ地方と呼ばれるフィリピン・ルソン島北部の山岳地帯の環境保全、先住民族の暮らしの向上を目的に活動するNGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク」が継続的に実施している演劇をもちいた環境教育のプロジェクトに、WSファシリテーターとして参加しました。この年はフィリピン北部の都市バギオ、首都マニラでの公演を行った後にインドネシアのアチェを訪問し、アチェの青年たちともWSや成果発表を行いました。

  

【受賞】

日本造園学会関東支部 事例・研究発表 最優秀発表賞

「農の風景育成地区における聞き書きを題材とした演劇創作の実践:練馬区高松「ちょいとそこまでプロジェクト」を事例に」